新緑糖尿病内科クリニック

【内科】ACTH単独欠損症の症状と治療方法のポイント

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自己免疫疾患の合併が多い成人発症のACTH欠損症

自己免疫疾患の合併が多い成人発症のACTH欠損症

2023/12/05

脳下垂体前葉からは6つのホルモン(ACTH,GH,TSH,LH,FSH,プロラクチン)が分泌されていますが、その中のACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の分泌が低下することによって起こります。その結果、副腎から分泌される副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌低下が起こり、副腎不全という状態を引き起こします。診断されず見逃されている場合があります。全身倦怠感、食欲不振、体重減少、るいそう、精神機能低下、低血圧、低血糖などが見られます。

目次

    ACTH単独欠損症とは

    全てのホルモン分泌が障害されたもの は汎下垂体機能低下症,一部のホルモンのみに 分泌障害を認めるものは部分型下垂体機能低下症と呼ばれます。後者のうち 1 種類のホルモン のみが障害されたものを特に単独欠損症(isolated deficiency)と呼びます。実際にはGHの単独欠損症 (下垂体性小人症)と、本稿で述べるACTH単独欠損症が良く知られています。TSH、LH、FSH、PRLの単独欠損症は稀です。成人発症では、橋本病などの自己免疫疾患の合併が多く、抗下垂体抗体の出現頻度が高いことから、主に自己免疫が原因ではないかと推測されています。リンパ球性下垂体炎によってACTHだけが欠損することもあります。下垂体はトルコ鞍空洞症候群(empty sella)を呈する場合が多く見られます。多くは後天性で遺伝しません。また、ステロイド剤(プレドニンなどの経口薬、塗り薬、喘息などの吸入薬、アレルギー性鼻炎などの点鼻薬、関節内注射など)を使用していると同じような状態になることがあります。原因不明の関節痛、発熱、炎症などがきっかけになって見つかることもあります。また血液検査では低Na血症、低血糖、好酸球増多などを認めます。

    治療方法の選択肢

    副腎皮質ホルモン(ヒドロコルチゾン10~20mg/日)を経口剤で補充します。ステロイドの必要量は個人差の大きいものです。症状は速やかに改善します。多すぎても少なく過ぎても問題が生じますので、量の調節は担当医とよく相談しながらすることが大切です。また感染症(発熱、嘔吐、下痢など)、手術、外傷などのストレス時には必ず量を2~3倍に増量することが重要です。増量が不十分だと副腎クリーゼという命に関わる状態になることがあります。必ず緊急時の予備の薬を用意し常に持参するようにしておきましょう。病気が回復することはまれで、多くは生涯治療する必要があります。きちんと治療することによって元気に生活することができます。

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