バセドウ病は、甲状腺機能亢進症とも呼ばれ、甲状腺ホルモンの分泌が多くなりすぎる病気です。20~30代の女性に発症することが多く、日本には1000人に1~3人ほどの割合で患者さんがいます。
バセドウ病の原因
バセドウ病は、自分の免疫機能の異常が原因です。
甲状腺ホルモンを作る細胞を刺激して、甲状腺ホルモンを過剰に作らせる「自己抗体」ができることで、バセドウ病を発症します。
バセドウ病の症状
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが多すぎることで臓器に負担がかかり、全身にさまざまな症状が出ます。バセドウ病にだけ特徴的な症状というものは少ないので、「ストレスが溜まっているのかな」「夏バテかな」などと感じることもあるでしょう。
「甲状腺の腫れ·頻脈·眼球突出」がバセドウ病の三大徴候といわれていますが、必ずしも全ての症状が出るわけではありません。
少しの距離を歩くだけで息切れがしてしまう、ちゃんと食べているのに痩せていくなど、気になる症状があれば、当クリニックにご相談ください。
全身の症状 | だるい、疲れやすい、暑い、体重が減る |
顔・首の症状 | 目が飛び出る、首が腫れる |
循環器症状 | 動悸、息切れ、むくみ、脈が早い |
胃腸症状 | 食欲が増す、便回数が増える |
精神症状 | イライラする、集中できない、眠れない |
皮膚の症状 | 汗をかく、皮膚がかゆい、脱毛 |
筋肉・骨の症状 | 力が入らない、手足がふるえる |
月経 | 生理不順、無月経、不妊 |
バセドウ病の検査
バセドウ病の診断のために、以下のような項目を調べます。
TSH (甲状腺刺激ホルモン) | 脳の下垂体で作られるホルモンです。甲状腺ホルモンを作るように促す働きがあり、バセドウ病の方では値が低下します。 |
TRAb (抗TSH受容体抗体) | バセドウ病のときに陽性になる自己抗体です。TSHと同じように甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンを作らせます。 |
FT4、FT3 (遊離甲状腺ホルモン) | 甲状腺で作られるホルモンで、バセドウ病の方は値が上昇します。 |
バセドウ病の治療
まずは「メルカゾール(成分名:チアマゾール)」や「プロパジール(成分名:プロピルチオウラシル)」という飲み薬での治療から始めます。
外来ですぐに治療を開始できるため便利ですが、甲状腺機能が落ち着くまでには数週間~数ヶ月かかることが多いです。症状や検査値が安定したら少しずつ薬を減らし、場合によっては薬を休薬することもできるかもしれません。
副作用として、38度以上の発熱、だるさ、喉の痛みが出ることがあります。別の医療機関にかかる際には、お薬手帳を持参するか、抗甲状腺薬を飲んでいることを伝えてください。
また、バセドウ病と診断が確定する前から、「ヨウ化カリウム」という薬を使用することがあります。ヨウ化カリウムは、メルカゾールの副作用が出る可能性を減らす可能性があるので、メルカゾールと併用することも近年では増えています。
飲み薬を使った治療で十分な効果が得られない場合は、放射性ヨウ素内用療法や手術を検討することもあります。