2型糖尿病は治る?「寛解」の意味と、血糖値が改善しても通院が必要な理由
2026/11/01
「HbA1cが正常になったら、糖尿病は治ったのでしょうか」。2型糖尿病では、薬を使わずに血糖が改善した状態を保てる方がいます。この状態を「寛解(かんかい)」と呼びます。ただし、検査がよくなっても、通院を終えてよいとは限りません[1]。
寛解は、どのように判定しますか?
2021年の国際的な専門家合意では、通常、血糖を下げる薬を中止してから少なくとも3か月後に、HbA1cが6.5%未満であることを寛解の判定基準としています[1]。
薬を飲んでHbA1cがよい状態は、治療が有効に働いている大切な成果です。寛解を証明するために薬をやめる必要はありません。薬の継続・減量は、血糖だけでなく心臓や腎臓などの状態も含めて判断します[1]。
体重を減らすと、誰でも寛解しますか?
英国のDiRECT試験では、医療者の管理下で集中的な体重管理を行った群の46%、通常診療群の4%が、1年後に研究で定めた寛解の基準を満たしました[2]。
対象は20~65歳、診断から6年以内、BMI 27~45で、インスリンを使用していない2型糖尿病の方でした。日本のすべての患者さんに同じ割合が当てはまるわけではありません。また、試験当時の寛解基準は、現在の国際合意と薬を中止してからの期間などが異なります[1,2]。
研究では薬の調整を含む医療的な支援と計画的な食事プログラムを行っています。自己流の極端な食事制限を勧める結果ではありません。減量の必要性や安全な目標は、現在の体格、年齢、栄養状態、治療内容を踏まえて相談しましょう。
寛解した後も、なぜ受診が必要なのですか?
寛解は、将来も血糖が上がらないことを保証するものではありません。体重の再増加や体調の変化などで再び血糖が上がることがあり、過去の高血糖による影響も残り得ます。専門家合意では、寛解後も少なくとも年1回のHbA1c確認と、眼・腎臓・足などの合併症の評価を続けるよう提案しています。実際の受診間隔は個別に決めます[1]。
薬を使い続けるのは、治療の失敗ですか?
薬が必要かどうかだけで、治療のよしあしは決まりません。寛解が可能な方もいれば、薬を使いながらよい状態を維持する方もいます。「薬をなくすこと」だけを目標にせず、低血糖を避けながら血糖を管理し、健康を守る治療を主治医と考えることが大切です。
本記事は2型糖尿病についての解説です。1型糖尿病などに同じ考え方を当てはめ、必要なインスリンを中止しないでください。
参考文献(PubMed掲載)
[1]Riddle MC, et al. Consensus report: definition and interpretation of remission in type 2 diabetes. Diabetologia. 2021;64:2359–2366. DOI: 10.1007/s00125-021-05542-z. PMID: 34458934(PubMed)
[2]Lean MEJ, et al. Primary care-led weight management for remission of type 2 diabetes (DiRECT): an open-label, cluster-randomised trial. Lancet. 2018;391:541–551. DOI: 10.1016/S0140-6736(17)33102-1. PMID: 29221645(PubMed)
本記事は一般的な医学情報です。薬の中止や減量、食事療法の変更は主治医と相談してください。





